絶望してはいけない・・・

私は昔からチャップリンの映画が大好きでした。チャップリンの短編サイレント映画から大作までよく見たものでした。子供の頃はあの独特の仕草や動きが楽しくて大笑いしておりましたが、大人になって鑑賞しますと、時代に向けた様々な風刺が笑いの中に取り込まれていて、大笑いしながらも悲しい気持ちになり、最後は自分で考えなさい!!みたいな終わり方をするチャップリン作品がますます好きになるのでした・・・

先日久しぶりにチャップリンの独裁者を観ましたが、やはりおもしろい映画でした。前半は面白おかしく時がながれ、後半は独裁者と入れ替わった主人公がすったもんだしながらも、最後にあの名演説をぶちまけるのです!!77年たった今でもまったく遜色のない凄いスピーチです。なんでもそれまでサイレント映画にこだわっていたチャップリンが、これをするために敢えてトーキー映画を解禁したというくらい思い入れのあるスピーチなのです・・・この全文が以下です。

「申し訳ないが、私は皇帝などなりたくない。それは私には関わりのないことだ。誰も支配も征服もしたくない。できれることなら皆を助けたい、ユダヤ人も、ユダヤ人以外も、黒人も、白人も。

私たちは皆、助け合いたいのだ。人間とはそういうものなんだ。私たちは皆、他人の不幸ではなく、お互いの幸福と寄り添って生きたいのだ。私たちは憎み合ったり、見下し合ったりなどしたくないのだ。

この世界には、全人類が暮らせるだけの場所があり、大地は豊かで、皆に恵みを与えてくれる。 人生の生き方は自由で美しい。しかし、私たちは生き方を見失ってしまったのだ。欲が人の魂を毒し、憎しみと共に世界を閉鎖し、不幸、惨劇へと私たちを行進させた。

私たちはスピードを開発したが、それによって自分自身を孤立させた。ゆとりを与えてくれる機械により、貧困を作り上げた。
知識は私たちを皮肉にし、知恵は私たちを冷たく、薄情にした。私たちは考え過ぎで、感じなく過ぎる。機械よりも、私たちには人類愛が必要なのだ賢さよりも、優しさや思いやりが必要なのだ。そういう感情なしには、世の中は暴力で満ち、全てが失われてしまう。

飛行機やラジオが私たちの距離を縮めてくれた。そんな発明の本質は人間の良心に呼びかけ、世界がひとつになることを呼びかける。
今も、私の声は世界中の何百万人もの人々のもとに、絶望した男性達、女性達、子供達、罪のない人達を拷問し、投獄する組織の犠牲者のもとに届いている。

私の声が聞こえる人達に言う、「絶望してはいけない」。

私たちに覆いかぶさっている不幸は、単に過ぎ去る欲であり、人間の進歩を恐れる者の嫌悪なのだ。憎しみは消え去り、独裁者たちは死に絶え、人々から奪いとられた権力は、人々のもとに返されるだろう。決して人間が永遠には生きることがないように、自由も滅びることもない。

兵士たちよ。獣たちに身を託してはいけない。君たちを見下し、奴隷にし、人生を操る者たちは、君たちが何をし、何を考え、何を感じるかを指図し、そして、君たちを仕込み、食べ物を制限する者たちは、君たちを家畜として、単なるコマとして扱うのだ。

そんな自然に反する者たち、機械のマインド、機械の心を持った機械人間たちに、身を託してはいけない。君たちは機械じゃない。君たちは家畜じゃない。君たちは人間だ。君たちは心に人類愛を持った人間だ。憎んではいけない。愛されない者だけが憎むのだ。愛されず、自然に反する者だけだ。

兵士よ。奴隷を作るために闘うな。自由のために闘え。『ルカによる福音書』の17章に、「神の国は我が内にある」と書かれている。一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間の中なのだ。君たちの中になんだ。君たち、人々は、機械を作り上げる力、幸福を作り上げる力があるんだ。君たち、人々は人生を自由に、美しいものに、この人生を素晴らしい冒険にする力を持っているんだ。

だから、民主国家の名のもとに、その力を使おうではないか。 皆でひとつになろう。 新しい世界のために、皆が雇用の機会を与えられる、君たちが未来を与えられる、老後に安定を与えてくれる、常識のある世界のために闘おう。
そんな約束をしながら獣たちも権力を伸ばしてきたが、奴らを嘘をつく。約束を果たさない。これからも果たしはしないだろう。独裁者たちは自分たちを自由し、人々を奴隷にする。

今こそ、約束を実現させるために闘おう。世界を自由にするために、国境のバリアを失くすために、憎しみと耐え切れない苦しみと一緒に貪欲を失くすために闘おう。理性のある世界のために、科学と進歩が全人類の幸福へと導いてくれる世界のために闘おう。兵士たちよ。民主国家の名のもとに、皆でひとつになろう

この当時ドイツのヒットラーは全盛期です。そんな中でこのような風刺映画を創り、当時の一触即発な世界に対して独裁国家や争いの悪を批判し、人間の尊厳を取り戻そうと、声高らかに発信したチャップリン。この映画のため国家の危険分子ということで、アメリカから永久追放されてしまいましたが、その勇気と人類愛には本当に心打たれます。

ただ77年前のスピーチが今でもしっくりくるということは、この世の中は70年以上たってもまったく変わっていないということなのでしょうか?それとも世の中は70年周期と云われておりますので、また元に戻って同じようなことが繰り返されているのでしょうか?久しぶりに鑑賞したことで、新たな疑問を感じてしまいましたが、ただこれだけはわかりました。「絶望してはいけない」。まあそう感じるようになった私は、間違いなく昔よりは生長したということでこの場は収めましょう(笑)ありがとうございます!!

 

※マエダハウスでは「失敗しない住まいづくりの秘訣」メールセミナーというものをおこなっております。登録は簡単です。下記のアドレスをクリックすると説明が書いてあります。その通りにしていただけば毎日1回配信されますので、ご利用下さい。

↓  ↓  ↓  ↓  ↓

「失敗しない住まいづくりの秘訣」

この記事を書いた人

前田 浩幸
前田 浩幸
演劇と音楽、日本の伝統文化や歴史が好きです。
日常の些細な出来事の中から、少しでも良いことを見つけて書き記すことができたらと思っております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です